- 監修:
- 東海大学医学部付属病院 皮膚科教授 馬渕 智生 先生
- 東海大学医学部付属病院 皮膚科准教授 山﨑 文和 先生
乾癬の疾病負荷は人生を通して積み上がっていき、さまざまな合併症を引き起こす原因になる可能性がありますので、適切な早めの治療が大切です。
また、症状を悪化させないためには、普段から症状が悪化する原因をできるだけ避け、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
乾癬の疾病負荷とは
乾癬の治療を受けられている方は、症状や治療による身体的な負担だけでなく、皮膚症状の見た目などから精神的な負担を強いられることもあります。
また、乾癬の疾病負荷は、病気の進行に勢いがある限り積み上がっていき(CLCI;乾癬の生涯累積障害)、さまざまな合併症を引き起こす原因になる可能性があります。そのため、適切な早めの治療が大切です。

乾癬が合併症の原因になることもある
乾癬は全身性の炎症性疾患で、皮膚症状以外にも症状があらわれる場合があります。
乾癬性ぶどう膜炎
乾癬により前部ぶどう膜炎をきたすことがあります。非感染性です。
白くかすんで見えるなどの異常に気付いたら、主治医に伝えましょう。
発作をくり返すうちに緑内障になることや、適切な治療ができないと視力を失うこともあります。

メタボリック症候群
肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧などを複合的に合併しやすく、脳梗塞や心筋梗塞など致死的な疾患を引き起こすことがあります。

炎症性腸疾患
ときに、下痢や腹痛が慢性的に続くクローン病や潰瘍性大腸炎を合併することがあります。治療薬を選択する際に考慮する必要がありますので、主治医に伝えてください。

出典:⽇本⽪膚科学会ホームページ、あたらしい⽪膚科学(第3版)、困ったときに役⽴つSTEP UP乾癬診療
気になる症状があれば
主治医に相談しましょう。
悪化の原因になるので避けましょう
禁煙しましょう
喫煙は乾癬の悪化因子として知られており、治療効果を妨げることが分かっています。
肥満の解消に努めましょう
乾癬はメタボリック症候群の合併率が高いことが分かっています。
肥満の解消は乾癬の改善にも役立ち、治療にもいい影響があります。バランスの良い食事を心がけましょう。

健康的な生活を心がけましょう
乾癬治療を効果的に進めるためには、毎日の生活の中から悪化の原因になることをできるだけ避けるよう意識し、健康的な生活を心がけることも大切です。
皮膚の正しいケアを
毎日お風呂に入り皮膚を清潔に保ち、外用療法と保湿を心がけましょう。
大切なのは、頭皮や体をゴシゴシ洗ったり熱い湯ぶねにつかったりなどしないことです。皮膚に過度の刺激を与えないようにするために、鱗屑を無理にはがしたり、塗り薬をすりこんだりすることも避けましょう。
また、体を強くしめつけるような、皮膚を刺激しやすい服は避けるようにしましょう。

心と体の自己管理を
風邪などの感染症で乾癬が悪化することがあります。
日ごろから手洗い、うがい、十分な休養を心がけましょう。睡眠不足、過労、ストレスの蓄積にも注意してください。
不眠や気分が落ち込むなどの場合は主治医に相談しましょう。

紫外線と季節的影響
乾癬は日光に当たることで軽減するといわれており、適度な日光浴は効果的です。
しかし、ひりひりするほどの過度な日焼けはかえって逆効果になることがあるので注意しましょう。
出典:⽇本⽪膚科学会ホームページ、あたらしい⽪膚科学(第3版)、困ったときに役⽴つSTEP UP乾癬診療
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