乾癬の治療は、病態の解明や新たな治療法の開発など、日々進歩を遂げています。
それにより、⼀⼈ひとりの症状や⽣活スタイルに合わせた治療で、⻑期にわたって皮疹をコントロールできたり、さらに完全に消失する⽅なども⼀定数おられ、⽪疹がなくなる(=寛解する)ことを⽬指せる時代になりました。
今⼀度ご自身の肌と向き合い、現在の治療が合っているか、また乾癬にかかわる気になることや悩みなど、なんでも私たち医師に伝えてください。
新しい一歩を踏み出すことで、さまざまな未来が待っています。あなたの治療ゴールを目指すために、私たちと⼀緒に最適な治療を選びましょう。
- 監修:
- 東海大学医学部付属病院 皮膚科教授 馬渕 智生 先生
- 東海大学医学部付属病院 皮膚科准教授 山﨑 文和 先生
症状が改善したら、やってみたいこと あなたの治療ゴールは?
乾癬の治療には、塗り薬による外用療法をはじめ光線療法が主流でしたが、近年では飲み薬による内服療法、生物学的製剤といわれる注射薬も用いられるようになってきました。その結果、乾癬の治療ゴールは、乾癬の症状や治療に制限されない生活を取り戻すことを目指す考え方に変わりつつあります。
乾癬は、皮疹による⾝体的な症状に始まり、「本来の⾃分らしさや能⼒とは関係なく、ただ⾒た⽬で判断されてしまうのではないか」と自信を失ったりストレスを感じたりするなど、さまざまな影響を及ぼすかもしれません。
そうした状況から解放された⽇常や夢を取り戻すために、「治療する意欲」を持ち、今の想いを医師に伝えることが、あなたに合った治療ゴールを⽬指す第⼀歩です。
出典:日本皮膚科学会乾癬分子標的薬安全性検討委員会 乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス (2022 年版), 日皮会誌2022; 132(10): 2271-2296.より改変
あなたの今の肌の状態は?
今の肌の状態で納得しようとしたり、諦めたりしていませんか?
乾癬では、周りの視線が気になって気分が落ち込んだり、消極的になったりなど、精神的な面でQOL(生活の質)が低下することも少なくありません。このように、皮疹の程度(PASI)(重症度)がQOLに影響することが報告されていますので、まずは皮膚症状を改善することが重要だと考えられています。
出典:Gerdes S, et al.: J Dermatolog Treat, 31, 5:470-475(2020)
皮疹の程度とQOLの関係
皮疹の程度が改善するとQOLが良くなることが報告されています。
- DLQI 0/1達成率は、乾癬が原因による日常生活への悪影響がない、ほとんどない状態を示します。
- PASIスコア絶対値は、皮疹の程度を示し、数字が下がるほど⽪疹が軽い状態で、「0」は⽪疹がゼロの状態を⽰します。
- 皮疹の程度が「2」以下で、⽇常⽣活に悪影響がない、ほとんどない状態が71%、「0」で82%でした。
- 対象
- IL-17阻害薬の2つの第Ⅲ相臨床試験の維持期において、IL-17阻害薬を4週毎、又はIL-12/23阻害薬を12週毎に投与された尋常性乾癬患者1054例。
- 方法
- 上記2つの臨床試験を統合し、投与16週時のDLQI 0/1達成率をPASIスコア絶対値で評価した。
- 本研究
の限界 - 本分析は、治療開始後数ヶ月間のデータしか含まれていないため、PASIとDLQIの長期的な相関関係を評価することはできていない。しかし、治療の成功は16週間の導入期の後に達成され、その後は持続的維持が続くと予想されており*、また28週目、48週目、52週目のデータに対する感度分析でも16週目の結果と差がなかったことから、長期間のデータでも同様の結果が得られると考えられる。
- 本研究ではベースラインPASIスコアが12以上の中等度から重度の乾癬患者のみを対象としたため、乾癬患者全体に対する一般化可能性は限定的である。
- *Mrowietz U, Kragballe K, Reich K, et al. Definition of treatment goals for moderate to severe psoriasis: a European consensus. Arch Dermatol Res. 2011;303(1):1–10.
Gerdes S, et al.: J Dermatolog Treat, 31, 5:470-475(2020)より改変
QOLの指標:DLQI(ディー・エル・キュー・アイ)
QOLを評価する代表的な指標として「皮膚疾患関連QOL(DLQI※1)」などがあります。
DLQIは、過去1週間の皮膚の状態が生活に与えた影響を評価する指標で、10項目の質問票で0~30のスコアを算出します。スコアが高いほどQOLへの影響が大きいことを示し、スコア6~10では中等度、スコア11以上では大きなまたは非常に大きなQOLへの影響があるとみなされます。
※1 DLQI:Dermatology Life Quality Index
出典: ⽇本⽪膚科学会ホームページ、あたらしい⽪膚科学(第3版)、困ったときに役⽴つSTEP UP乾癬診療、日本皮膚科学会乾癬分子標的薬安全性検討委員会:日皮会誌, 132, 10, 2271-2296(2022)©日本皮膚科学会
皮膚症状の指標:BSA(ビー・エス・エー)とPASI(パシ)
乾癬の皮膚症状は「体表面積に占める乾癬の面積の割合(BSA※2)」や「乾癬の面積と重症度の指数(PASI※3スコア)」で評価します。
BSAは、残っている皮疹が「手のひらと5本指の大きさ」で、4枚以上で中等症、10枚以上で重症とみなされます。
※2 BSA:Body Surface Area
※3 PASI:Psoriasis Area and Severity Index
出典:⽇本⽪膚科学会ホームページ、あたらしい⽪膚科学(第3版)、困ったときに役⽴つSTEP UP乾癬診療
今の肌の状態を主治医に伝えましょう
今の肌の状態を知り、主治医に相談しやすくするためのサポートシートがあります。また、DLQIといった評価指標を用いてあなたのQOLをチェックできるアプリがあります。
これらを用いて、主治医にあなたの今の肌の状態や症状が改善したらやってみたいことを伝え、一緒に最適な治療を選び、あなたに合った治療ゴールを目指しましょう。
症状の改善のその先に
今の肌の状態をチェックできるサポートシートです。
DLQI: 公式アプリ
10項目の簡単なアンケートで、過去1週間の生活の質に対する皮膚疾患の影響を測定できます。
- © Dermatology Life Quality Index. AY Finlay,
GK Khan, April 1992 (www.dermatology.org.uk) - ※ 弊社は本アプリ及びDLQI質問項目の作成に対して
関与ならびに資金提供を行っておりません。
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※日本皮膚科学会のWEBサイトへリンクします。